資本主義経済におけるバブルの発生と崩壊、貧富の拡大、ウイルスによる感染症の世界的伝搬、多様な生命の進化と絶滅、巨大地震による壊滅的被害――これら多岐にわたる事象に共通することはいったい何でしょうか? 人類が直面しているグローバルな問題?もちろんその通り。しかし、科学的見地から見た共通性は、いずれも非線形科学で扱われる動的非平衡系であるという点にあります。このような、いわゆる複雑系と呼ばれるシステムのビヘイビアは、ある共通の数学モデル「べき乗則」によって現象を説明することができるのです。
サイジニアは、ECをはじめSNSのようなネット空間におけるさまざまなビヘイビアが、べき乗則のネットワーク版であるスケールフリーネットワーク/複雑ネットワーク理論によって説明可能であることを発見し、この理論に基づいて大量のデータの奥底に潜むコミュニティ構造を解析する手法を開発しました。
この技術は、一見、ランダムで複雑なデータセットの中から趣味嗜好の似ている情報やユーザ群を抽出し、ユーザが欲しい情報を検索せずとも発見することができる画期的な技術です。
このイノベーションが画期的なのは、サイバースペースという言わば抽象的人工物に対して、自然科学的アプローチをベースに、まったく新たな情報処理技術を世界で初めて開発、そして商用化に成功したことです。
もともとサイジニアの前身は、北海道大学の研究室から始まりました。そこでは、非線形システムの理論研究、生物の進化・学習メカニズムを模した創発型情報処理システムの開発、さらにはロボティクスへの応用などが行われていました。
90年代の後半、インターネットが誕生し、そこに形成されたエコシステムを目の当たりにした時、私たちはそれまで展開してきた研究成果がこの新しい領域で信じられないほど多大な恩恵をもたらすことができると確信しました。
しかし当時はまだダイナミクスは複雑系であっても、ネット空間のビヘイビアをどのように記述してコンピュータで取り扱うのが適切かについては答えがありませんでした。
その後、21世紀を迎えたころ、世界中で新しいサイエンスが注目され始めました。電力網、航空ネットワーク、インターネットの接続形態からソーシャルな人間関係に至るまで、あらゆる関係性を取り扱う複雑ネットワーク理論の登場です。
グラフ理論をはじめとする数学・物理学を動員して大量のデータを解析するコンセプトを、ネット空間のユーザ行動履歴の解析へ応用することをひらめくのに長い時間はかかりませんでした。
2008年、サイジニアは、ついに「ディスカバリーエンジン」の開発に成功、第一弾のアプリケーションは、大量のユーザ行動履歴をもとに、所望の情報をレコメンデーションする技術です。非常に高いパフォーマンスは世界的にも評価されています。
リテラシの高いユーザの行動履歴を活用して情報弱者の活動を支援するデクワスの技術は、世界のデジタルデバイドを解消します。



